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夜尿症

夜尿症とは?

夜間、寝ている間に目が覚めずに、おもらししてしまうことを「おねしょ」といいます。赤ちゃんから5歳までのおねしょは、成長過程ですので病気ではありません。5歳をすぎても月1回以上のおねしょが3カ月以上続くことを、「夜尿症」と区別しています。

夜尿症の原因は?

おしっこをためる膀胱の大きさと、夜眠っている間に作られるおしっこの量が多いこと、尿意をもよおしても目が覚めないこと、それらが主な原因です。原因はひとつのことも複数のこともあります。
膀胱の大きさはこどもの成長とともに発達していき、4-5歳になると夜間トイレに一度も行かなくてもよい位のおしっこをためられるようになります。しかし、夜尿症のこどもの中には、膀胱の機能が未発達で、成長に追いついていない場合があります。
夜眠っている間に作られるおしっこは抗利尿ホルモンによってコントロールされています。これは、脳から放出されるホルモンで、昼間少なく、夜になると多く出ます。そのため、夜に作られるおしっこの量は昼間に作られるおしっこの量よりも少なくなります。
抗利尿ホルモンの出方は、通常、成長と共に整ってきますが、夜尿症のこどもの中には、昼間は普通のこどもと同じなのに、夜だけ抗利尿ホルモンの出方が悪いため、夜間のおしっこの量が多過ぎる場合があります。
おねしょのあるこどもは、5-6歳児で10-20%、10歳児で5-7%といわれています。「おねしょはそのうち治る」とよく言われます。実際には1年間でおねしょを卒業できるこどもは10-15%といわれています。
つまり5-6歳で夜尿が続いているこどもの約半数が、10歳前後でも夜尿が続いたままになります。
夜尿症の一部は昼間のおもらしをするこどももいます。この場合はしっかりとした検査と治るのに時間がかかるため、腰を据えた治療が必要です。

夜尿症は治療したほうがいいですか?

おねしょが続くことは、ご家族とお子さんの両方にストレスであると言われています。お子さんは、繰り返される失敗により、お子さんの自尊心が低下し、生活の質を悪化させると報告されています。 一方で、ご家族にとっても、様々な場面で負担を掛け、心理的にもマイナス面が目立ち、親子関係に影響を与えることも十分起こりえます。

受診する目安はありますか?

夜尿症のこどもの中には、病気が隠れていることがあります。代表的には腎臓病、糖尿病、神経因性膀胱、尿崩症などがあります。小学生になったら、一度は医療機関への受診を勧めます。

日頃から取り組めるおねしょ対策はありますか?

こどもを無理やり夜間に起こしてトイレに行かせる方法は、眠るリズムを崩しておしっこの量の調整や膀胱の働きが悪くなり、寝ている時間におしっこをする習慣がつき、おねしょが治りにくくなるため、逆効果です。
ご家庭の取り組みとしてはこどもに対して「起こさない」「焦らない」「怒らない」「ほめる」「比べない」ことが大切です。

夜尿症の治療はどんなものですか?

診察では問診、おねしょに関する記録、尿検査、腎臓の形を調べる超音波検査を行い、夜尿症であることを診断します。
おねしょに関する記録はとても大切で、原因を知るためには必要不可欠です。また、治療法を選択する上でも参考になります。ひとつは夜間尿量と呼ばれ、おねしょがなかった日の朝一番のおしっこの量を測定します。毎晩おねしょがある場合は朝のおむつの量と朝一番の尿を足したものになります。もうひとつががまん尿量と呼ばれ、我慢しきった時のおしっこの量を測定し、記録に残します。次に生活改善を行います。生活改善は治療の基本であり、これだけで20-30%の方はおねしょがなくなります。

具体的には

  1. 夕食後の水分摂取はコップ1杯までにがまんし、代わりに朝食や昼食時にしっかりと水分をとるようにする。
  2. 保護者が深夜にこどもを強制的に起こして排尿させることをやめる。
  3. 就寝前におしっこを行う。
  4. 睡眠中の冷えや寒さ対策を行う。

また、週末など時間に余裕がある場合はできるだけおしっこをがまんする膀胱訓練を行います。
一度に我慢しすぎると体に負担がかかるため、最初は1分程度がまんすることろから始めるといいでしょう。膀胱訓練は膀胱が小さいタイプの夜尿症や昼間にお漏らしするお子さんに特に効果があります。
がまん尿量は

  • 6-8歳で150cc
  • 9-11歳で200cc
  • 12-15歳では300cc

以上ためられるようにすることを目安にします。
また、便秘があると夜尿症は治りにくいですので、うんちの状況もご家庭で確認ください。生活改善でも効果が乏しい場合はおくすりを使用します。

おくすりはどんなものがありますか?

1抗利尿ホルモン薬

夜間におしっこが沢山作られるタイプの方に使用されます。自分自身の抗利尿ホルモンと同じ効果があり、ホルモンの出方が弱い方にホルモンの効果を補うために用いられます。抗利尿ホルモン薬により、目に見えて夜間尿量が減少します。
効果は8-10時間ほど持続するため、就寝30-60分前の内服がお勧めです。
また、舌の下で溶かして、口の粘膜から吸収されることでくすりの効果が発揮されます。副作用はおしっこになるはずだった水分を身体にためることによって、水中毒(倦怠感、頭痛、吐き気、嘔吐)などが出現する場合があります。夕食後に水分を取り過ぎ(目安は200cc)なければ副作用の心配は必要ありません。
ポイントは

a)水分を取り過ぎた際には本剤の内服を行わないこと
b)発熱や胃腸炎など水分補給が必要なときは本剤の内服を控えること
c)水中毒が疑われる際には、内服を中止して、速やかに医療機関に受診すること

が大切です。

2抗コリン薬

尿を多く膀胱にためられるように、膀胱機能を安定させる薬剤で、膀胱が小さいタイプの夜尿症の方に使用されます。副作用は口の中が乾きやすくなり、便秘になりやすくなります。

3アラーム療法

お薬ではありませんが、治療の大きな柱のひとつです。
自費購入 をしなければなりませんが、パンツに水分を感知するセンサーを取り付けておくと、おねしょの水分を感知し、アラームが鳴ります。
アラームで起こしておしっこをさせるためではなく、こどもがそのアラーム音に対して無意識におしっこを我慢させることによって、睡眠中の膀胱に貯められる量を増加 させるメカニズムが想定されています。

「たかがおねしょ、されどおねしょ」
おねしょにお困りの際は、お気軽に当院に相談下さい。